2008年:京都議定書約束年の初めにあたって

物質・材料研究機構
超耐熱材料研究センター センター長
ロールス・ロイス航空宇宙材料センター コーディネータ
原田広史


新年あけましておめでとうございます。2008年が皆様にとって良いお年となりますようお祈り申し上げます。

さて、昨年2007年の夏は40℃を超えるような記録的な猛暑が続きました。これは今までとは違う、と感じられた方も多かったのではないでしょうか。振り返って子供の頃、夏休みの宿題で絵日記というのがありました。必ず天気と気温を書く欄がありましたが、ずぼらな私は几帳面な祖父の日記帳をあてにし、いつも夏休み最後の日にまとめて写させてもらっておりました。その記憶では、四国の、入道雲の出た最も暑い日でも最高気温が32℃を超えることはありませんでした。50年近くの間に少なくとも数度の気温上昇を実感するところまで温暖化が進んだと言うことかもしれません。

1997年の京都会議(COP3)の“京都議定書”にも関わらず地球温暖化ガス排出削減の取組みは遅々として進んでおりません。日本は約束年(2008-2012年)において1990年比で6%の削減義務を負っていますが、現時点では逆に6%前後上回っている状況です。いったい現実的な削減の方法はないのでしょうか。

国内で排出するCO2ガスの1/3は、火力発電所の煙突から出ています。火力発電にも燃料によって、石炭火力、石油火力、天然ガス複合発電火力の3種類があり、単位電力あたりのCO2発生量は順に10:8:6程度の大きな差があります。石炭火力を天然ガス複合発電火力にて置き換えれば、CO2を直接発生しない原発ほどではないにしても、大きな効果があるのです。この天然ガス複合発電火力をいっそう普及させてCO2削減効果をさらに上げるためには、用いられているガスタービンの燃焼温度(普及型1100-1300℃、最新型1500℃)をさらに1700℃まで上昇させて燃費を向上させるとともにCO2発生量をさらに低減することが必要です。

私たちは、新世紀耐熱材料プロジェクト1999年〜)において、民間企業と協力して、耐用温度世界最高1100℃(従来発電用材料は980〜1025℃)の第5世代単結晶超合金はじめ各世代の単結晶超合金、コーティング材料などを開発して参りました。さらに、これらの超耐熱材料技術を最新のタービン冷却技術等と組合わせて1700℃高効率ガスタービン複合発電、高効率コジェネレーションなどを実現するための実用化研究を進めております。開発材料は、石炭ガス化複合発電、中小型高温ガス炉(安全性のより高い原子炉)など新規発電技術の実現と高効率化にも広く役立つものと期待されています(図1)。一方、CO2発生比率が全排出量の1〜2%とされるジェットエンジンも、需要の伸びで将来5%前後の発生比率が予測されています。したがってその熱効率向上も今後さらに重要になっており、それらを可能にする超耐熱材料技術への期待が高まっています(図2)。

地球温暖化抑制技術の開発と普及に最大限の貢献を果たすべく、超耐熱材料センター/ロールス・ロイス航空宇宙材料センター職員一同、一層努力して参る所存でございますので、関係各位の引続いてのご指導ならびにご協力のほど、何とぞ宜しくお願い申し上げます。

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YOKOKAWA.Tadaharu@nims.go.jp
Last modified: Wed Apr 02 17:51:58 LMT 2008